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雑談BBS

No33-2010/02/02 23:44
女/桜井
822P-5ys4E6s0
遅かったのではなくて、最初から無理な話だったのだ。まだ若い雲雀のように旺盛な妹の好奇心を抑えきれるはずもなかった。

「だからムダなことだと言ったのに、にゃん」

「……イリスを呼んだのは貴方ね」

「やーだァ、にゃん。僕じゃないよおマジで。ウサギは勝手に来たのだ」


にゃん、にゃん、とわざとらしく鳴く猫がただの猫ではないことは分かりきっていた。その妖しげな猫の言うことが、事実であることも。
妹はウサギを追っていった先、その女に出逢うだろう。私ではない私。私の国の王である、私。

「そう、君ではない君。君が認めたがらない君。横暴で、傲慢で、高慢で、残忍で……」

「黙りなさい!」

堪えられず声を上げた私に、猫は酷く嬉しげににゃん、にゃんと鳴く。

「ご命令とあらば従いましょう?我らが女王陛下。僕らはみんな君の家来なんだから、ネ」


そう言って猫はぷつりと存在を消した。私は動けずに、ただただ妹の見るであろう世界を思って、うずくまった。






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今年もしりとって参りましょー!
『うずくまる』or『うずくまった』で^^
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