PiPi's World 投稿小説
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No20-2014/06/12 02:42
男/HI3D
HI3D-6EDahzkz
「そして、開拓は失敗と判断され、彼らとて無事ではすみませぬな」「それじゃあ・・・僕は・・・」ようやくルークも何かを悟った。自分の命の重みを・・・極論、ルークさえ生きていれば、開拓団が何人死のうと問題ないのである。開拓団全員よりもルークの命は重く、彼がしねば開拓団は失敗。クラウスの言った末路となるだろう。だからと言ってルークは排除できない。なぜなら開拓団にとって大事な旗頭だから。故にこのクーデターは彼から決定権を剥奪するだけのもの・・・つまり、ロレンツ達、国家の軍人たちはルークを『無能』と判断した訳だ。その無能でも死なれると自分たちの身が危ないから軟禁した。そう言う事なのである。恐らく、ルークが怪我した辺りで、彼らは諦めたのだろう。その事実に更にルークは落ち込んだ。「ルーク様はまだ未熟なのですよ・・・まずは彼らの信頼を取り戻す所から始めましょう」クラウスの言葉は穏やかで優しい。
No19-2014/06/12 02:37
男/HI3D
HI3D-6EDahzkz
「畜生めっ!」怒り心頭のベイウッドも悔しそうに剣をテーブルに放り投げた。「では、貴族様を居室までご案内しろ!・・・くれぐれも粗相無いようにな」流石に多勢に無勢。鮮やかなクーデター劇にルーク達は成す術もなく囚われたのだった。結局、ライオネス家中の士官たちとルークは司令部に軟禁された。士官たちはグループ分けで、クラウス一家はルークの部屋の隣。周囲には厳重な監視がついていた。「やられましたな」淡々とそう言うクラウス。ルークの方は落ち込んでいた。「何が望みなのだ・・・彼らは・・・」このクーデターの原因が分からず、落ち込むばかりのルークにクラウスが答えた。「彼らにとって、ルーク様の身の安全が最優先だからですな」以前のルークの怪我の時、彼らの動揺が酷かった事にクラウスも危惧はしていたが、ここまで思い切るとは予想外だった。「ルーク様がもし、万が一があれば・・・」クラウスは落ち着いた口調で理解してない顔のルークに言う。「私とアレクは間違いなく処刑の上、家名断絶ですな」クラウスの言葉にルークは絶句する。
No18-2014/06/12 02:35
男/HI3D
HI3D-6EDahzkz
「いけませんなぁ、貴族様・・・どうやらお疲れのご様子、ここはゆっくり休んで頂かないといけませぬな」彼がパチンと指を鳴らすと、ドアが荒々しく開き、抜剣した下士官達が雪崩れ込んでくる。「何を考えてるっ!!」ルークをかばうようにジェシカとベイウッドが立ち上がる。「いやなに、貴族様は貴族様らしく優雅にお過ごしになられればよいだけ・・・些事は我らが受け持ちます故、ごゆるりと」慇懃無礼な言葉遣い。だが、これは所謂クーデターであった。ライオネス家中の士官がいきり立つが、クラウスだけは座ったままだった。静かにロレンツを見る。「貴官らはルーク様の身が安全であればそれで良いのだな?」「流石、クラウス殿・・・だが、もはや貴族様には瑣末な出来事にいちいち携わって頂く必要はありませぬ」そのロレンツの言葉に、クラウスは自らの剣を机の上に置いた。そして家中の者達にも剣を置くように促す。「それならば本官も何も言う事はない・・・良しなにされよ」「く・・・クラウス・・・」ルークは愕然とし、憮然とした表情のジェシカも剣を置く。
No17-2014/06/12 02:33
男/HI3D
HI3D-6EDahzkz
「その任務っ!、俺に命じてくださいっ!!」「これは僕自身が指揮を取りたい」ベイウッドのそんな反応に驚きつつも半ば喜びながら、ルークがそう返すと司令室がざわつく。そのざわつきは、今までと少々違った。「それはいけませんなぁ・・・」ゆらりと立ち上がってそう言った士官。彼の名はロレンツ。ライオネス伯家の臣下ではなく、国家の軍人。彼らが開拓団の軍事の要であった。ロレンツ自身、優秀な軍人として開拓団でも活躍してきたが、今までこれといった不満は言ってきていない。その彼が微笑みながらそう言ってきたが、その目は笑っていない。「そのような些事、貴族様のなさる事ではありません」『貴族様』とは相当嫌味な言い方だ。「貴官達に苦労はかけない・・・家中の者だけで編成しようと思っている」ムッとしながら言い返すルークだが、ロレンツは表情を変えない。
No16-2014/06/12 02:32
男/HI3D
HI3D-6EDahzkz
男によってそうされてきた身体だ。どこかそんな所が愛おしかった。ならば後は、どうやってルークにエリスを諦めさすかだ。彼が危険を犯して救出すると言い出すのだけは避けたい。多分そう言い出すだろうが、クラウスも不穏な空気は感じていたのだ。だが、それはベイウッドではない。彼は気は荒いがライオネス家の家臣だ。少なくともルークに対する忠誠心はある。それより問題は、国家から派遣された軍人達だ。彼らが心穏やかでないのが、クラウスには非常に気がかりだった。しかし、クラウスがそう思っていたよりも状況は深刻だったのである・・・次の日の会議で、ルークがこれを提案してみた所、反応は最悪であった。「承服致しかねません」クラウスがまず反対した。娘の状況は心に秘めていたが、それを抜きにしても彼の立場ならそうだろう。まず賛成できない。だが、ルークも引く気はなかった。「勿論、全軍ってわけじゃない・・・少数での威力偵察だ」ルークの言葉に唯一目を輝かせたのはベイウッドだけだった。クラウスの思った通り、彼は気が荒いだけでやる気や忠誠心はある。
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