洞窟
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硬い岩壁に包まれた薄暗い洞窟の中を、歩く者達がいる。 先頭の者がカンテラを持ち、足元を照らしている。 彼ら五人は、中を探りながらゆっくりと進んでいる。 大きな剣を背負った一番の大男が言うと、カンテラを持つ男が答えた。 「随分と不気味な場所だな」 「怖じ気付いたのかジェス」 「違ぇよ!」 別の男が言った。引き締まった長身に革鎧を身につけている。 「でもよお…なんか生き物がいる感じがしないんだよな」 「確かにおかしいな。自然の洞窟なら何かしら棲みついてる動物がいるもんだが…」 長身の男に魔術師が同意し、他の男も同意した。 すると先頭の男が最後の一人に訊いた。 「なあアリシア、お前はどう思う?」 「自然の洞窟でも、人工の穴でも、これだけ長期間放置されてたら何か棲みつきそうなものね。やっぱり仕掛けがあるんじゃないかな?伝説は本当だったのよ」 アリシアと呼ばれたのは女だ。かなり若く、この穴の奥にある物に期待しているようで声が明るい。
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