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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第一話「守ってあげタイッ!?」-1

 陸上部の練習は各々の専攻している種目を練習しているらしく、準備運動、アップ以外は別々に行うことが多い。
 長距離専門の樋口優は幼馴染の市川稔と一緒に校外ランニングに繰り出し、短距離走の和彦は短い距離でダッシュを何本も繰り返している。
 他にも幅跳びを選択しているキャプテンの梨本久恵は開始前に砂地をならしていたりと、よく言えば自主性の高い、悪く言えばまとまりのない活動をしていた。
 運動部の練習など経験のない紀夫は、ファイル片手にトラックを回る里美を眺めてばかりで特にやることがわからずにいた。
「おーい、マネージャー君! こっち手伝って」
 すると部員の伊丹理恵が彼を呼ぶ。彼女は縄梯子のようなものを地面に敷いており、紀夫にもそれを等間隔でしくように言う。
「これ、なんですか?」
「うん? これはラダーじゃん。知らないの?」
「あ、えっと、あんまりハードルは詳しくなくて……」
 凄腕マネージャーと紹介されていたのにと驚く理恵に、紀夫は慌てて弁明をする。
「そうなの。まいっか。それじゃさ、時間計ってよ。合図かけてね」
 マネージャーとはいえ練習器具も知らないのでは話にならない。とはいえ、顧問が顧問なせいか、理恵もそこまでとやかく言うつもりはないらしい。彼女はそそくさと開始位置に向うと、右手を上げて「おっけー、三分たったら教えてねー」と促す。
「よーい、スタート!」
 合図と同時にストップウォッチを押すと、理恵が小刻みにラダーの上を走る。
 なわばしごのようなそれは二十センチ程度の感覚で開いており、歩幅の感覚を覚える為の練習と理解できる。同時に腿上げと手の振り方を学ぶものなのだろう。
 理恵の小麦色に焼けた腕と太腿がよく動き、茶色の入ったポニーテールが勢い良く揺れていた。
 ――へー、こういう練習があるんだ。
 運動とは縁遠い彼だが、アンチスポーツマンでもなく、オリンピックなどは興味がなくとも周囲に促されて惰性で見ることが多い。
 だからだろうか、普通に感心していた。
 理恵は何度となく往復しては汗を迸らせていた。
 そして、走るには不得手と思えるほど肉付きの良いお尻をプルプルと揺らし、彼の脳裏に軽い火花を散らしてくれた。
 ――僕、何を考えているんだろ……。でも、理恵さんのお尻、柔らかそう……。
 スポーツ番組を見ているときも普通に下心を抱く健全な少年である紀夫だが、目の前で見せ付けられている彼女の魅惑的なヒップにはそれ以上に反応してしまう。
 ――いかんいかん、僕はそういうんじゃなくて、あくまでも……。
「ねー、今何分?」
 往復するたびに脚が下がってくる理恵が、苦しそうに言う。
「え? あ、んと五分三十、一、二……」
「えー! 三分っていったじゃん、もっと早く教えてよー!」
 理恵はゆっくりと動きを止め、息を荒立てながら彼のほうへと歩み寄る。
 ちょっぴりつり上がっている目と、きつい感じを和らげる大きな眉は愛嬌があり、見るものを朗らかな気持ちにさせる。
 反復運動を繰り返した彼女の頬は赤く上気しており、それを見た紀夫はすまなそうに肩をすくめてしまう。
 そもそも彼は近代スポーツ論を知らないわけだが、触れ込み、紹介のされ方はあくまでもスポーツ博士ノリオだった。理恵の驚きも頷ける話だ。
「ゴメンなさい。ちょっと気を取られることがあって」
 その視線の先にあったものといえば、理恵のおいしそうな太腿。弁明になるはずもなく、不埒な思惑を飲み込む。
「おーい、マネージャー。タオルどこー?」
 走り込みを終えた二年の前園美奈子が汗を垂らしながらやってくる。
「マネージャー、マット出すの手伝ってー!」
 体育館倉庫のほうでは高跳び用のバーとマットを運ぶ同じく二年の橘紅葉の姿がある。
「はーい、今いきまーす」
 都合よく頼まれた仕事にとりかかることでひとまず理恵の疑念の目を欺くわけだが、それも何時まで出来ることなのか?


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