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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第一話「守ってあげタイッ!?」-2

**――**

「ふーん。そっか、理恵がねぇ……」
「うん。正直、ただの雑用と紹介してくれたほうがよかったんじゃないかな?」
 昼休み、食堂でサンドイッチをつまみながら話す二人。男女比率一対四の学園ではそう珍しい光景でもない。
「でもね〜、男子となると男子部のほうのマネージャーにされると思うし」
「だけど、監視するならそのほうが都合よくない?」
「でもさ、雑用してもらいたいし」
 しれっと言う里美だが、もしかしたら本心はそこにあるのかもしれない。
 ここ一週間女子陸上部のマネージャーとして過ごした彼だが、日々頼まれる雑用の量は半端ではない。部員数二十余名程度とはいえ使用する器具は種目ごとに様々であり、洗濯物も部室棟に備え付けられている洗濯機を一日一回動かす必要がある。
「んで、何してんの?」
 オヤツのウエハースをかじりながら仕切りに書類にペンを走らせるマネージャー。
申請書とある。
「うん、部室の申請書。男子部と女子部で分けられないかなと思って」
「あそっか。そうすればああいうことされなくて済むんだ」
「うん。けど、男子部は今五人だからね。通るか難しいと思う。せめてあと五人いればね……」
 いくら部員の兼任が許されるとはいえ、一人の生徒が五人分登録するわけにもいかず、こればかりは生徒会の掌の上というもの。
「でも、あたしが心配してるのは……」
 一人でいるところを狙った卑劣な蛮行。
「大丈夫。きっと僕が守ってあげるから!」
 薄い胸板をドンと叩くも、そう頼れるものでないというのは理解のうえ。出てくるのはため息なのかもしれない。
「おっ、マネージャー君だ。サトミンも一緒? 何してたの?」
 声の方を振り返ると理恵がいた。
 彼女は素うどんをトレイに乗せながら席を探していたようだが、時間帯が時間帯のせいか空きがない。
「隣いいよね。いいよね」
 里美の返事を待たず強引に相席をする理恵だが、フンワリ茶髪に染められたポニーテールがよく似合う彼女に言われると、反論する気持ちもなく「まいっか」と受け入れてしまう。
「えへへ、イタダキマス」
 割り箸をパチンと割ってちゅるちゅる啜る彼女に、二人だけのミーティングも一時中断。理恵も当事者なのだから教えても良いのだが、あまり拡大しても都合が悪い。
そもそも秘密裏に済ませたい内容なのだ。
「ねぇ……、マネージャー君ってさ、本当に陸上部だったの?」
「え? あ、いや、それは……」
「うん。そうよ。私の中学では結構知られた存在だったんだから。雑用として」
「そうなの? だからあんまり知らないんだね? 納得」
「嘘ついてごめんなさい」
 すでに登録を済ませている以上、隠す必要も無いと打ち明ける二人。理恵もたいして驚かず、むしろ睨んだ通りと頷いていた……が、
「もしかしてさ、サトミンのためにマネージャーになったとか? ……いいな、いいな。専属マネージャーとか、しかも男の子……」
 猫の目を半眼にして二人を交互に見る理恵。口元にはうどんに目一杯かけた七味の黒い粒がついており、実年齢より幼い印象がある。
「何よ。言いたいことがあるならはっきりいいなさいよ」
 専属、男の子をやけに強調する理恵に、里美は妙な苛立ちを覚えてしまう。
「ん? いいの?」
「いいわよ」
「じゃあ言うね。マネージャー君とサトミン、付き合ってるとか?」
「「……!?」」
 ピンクの渦巻きのナルトを箸で器用につまみ、二人を交互に見る理恵。
 そのナルトがどことなくハートに見えたところで、里美はドンと机を叩いた。


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