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夏の断面
推理リレー小説 - その他

総合順位:3027位
その他:5位
得票数:2
発起人:匿名
投稿日:2024-12-19
最終投稿者:匿名
最終更新日:2024-12-28
投稿数:3

はじめから読む

書き出し

ある晴れた夏の日、東京の中心部にあるタワーマンションの一室で、一人の男性がバルコニーの手すりに寄りかかり、街の景色を眺めていた。

彼の名前は田野井幸太郎。
田野井幸太郎は、汗ばむ額を指で拭いながら、目の前に広がる東京の街並みをぼんやりと見下ろしていた。陽炎が揺れるビルの群れ、その隙間を縫うように走る車列。その全てが、まるで遠い映画のスクリーンの中の風景のように思えた。ここ数ヶ月、彼はこのバルコニーから景色を見ることが日課になっていたが、今日ほどその光景に違和感を覚えたことはなかった。

背後で微かに人の声が聞こえた。室内では、杉村将一の低く響く声が、島田唯子の冷ややかな声とぶつかり合っている。二人が話し合いをするのは今日で三度目だったが、和解の兆しはまるで見えなかった。

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