新説『忠臣蔵』
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たちまち人々が集まって来た。 大名は構わず老人に斬り付けた。 「ぐわぁ…っ!?」 老人は倒れ込む。 「あ…浅野殿ぉ!殿中でござる!!殿中でござるぞぉ!?」 皆は慌てて大名を取り押さえた。 「は…離しくだされ梶川殿ぉ!五万三千石、所領も捨て、家来も捨てての刃傷(にんじょう)でござる!!武士の情けをご存知あらば、その手を離して今ひと太刀お許しくだされぇ!!」 許す訳が無い。 老人は医師の元に運ばれ、大名も別の部屋へと引きずられて行った。 今さら言うまでも無いが、斬り付けた馬鹿は播州赤穂藩主、浅野内匠頭長矩。 斬られたじいさんは高家筆頭、吉良上野介義央。 時に元禄14(1701)年3月14日。 後の世に言う『松の廊下の刃傷』である。
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