六花
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ペンネーム
┗春澤 櫻華
本文
春の昼下がり彼は供も連れず、一人散策していた。春の強く黄色がかった風が心を浮き立たせる。何の気なしに顔を上げると、やや離れた所に女が立っていた。どこぞの豪族の媛でもあろうか、華麗な服装で身を包み、ひれで口許を覆っている。その顔はぼんやりとしており、心ここにあらずだった。彼はほんの気まぐれで彼女に近付き話しかけた。 「美目麗しき媛君、貴方にそんな顔は似合いませんよ」 しかし彼女は顔を赤らめるどころか、鋭く睨んだ。 「無礼な! わたしを武埴安王の媛、亜理礎と知ってのお言葉ですの?」
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