斬魔刀
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斬魔刀の「ざ」の字も噂されなくなって久しく、この刀を手に旅を続ける男がいた。 男の名は稲墨七左衛門。 「全く、血生臭い世の中になっちまったもんだな。」 七左衛門は飯さえあれば、他には何も要らぬという風変わりな男だが、 「おい、待ちな。」 七左衛門が旅の女を取り囲んでいる山賊達を咎めると、 「何だ、てめえは?」 すかさず鞘も抜かずに打ち据えてしまい、 「く、くそ。」 山賊がなおも刀を抜いて抵抗しようとすると、 「この刀の錆になりたくなかったら、とっとどっかに行きな。」 斬魔刀を軽く振ると、山賊達の後ろにあった岩に切れ目が走り、 「ば、化け物だ。」
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