Dandelion
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紅く輝く刀身には、同じ色に染められた人の姿をした獣が映し出されている。年齢だけで言えば、少年と呼んで相違ないはずだが、彼の纏う威圧感がそれを許さない。 時刻は夕暮れ時。周囲に見えるのは橙色に染められた屍と瓦礫の山だけ。その亡骸の肩には封改派の印章。嗅ぎ取れるのは血と死の香り。始めはその光景に吐き気さえ覚えたが、今ではそんな地獄に何時間いようが、何も感じない。その地獄には鬼もエンマもいないから。いたとしても、きっと自分には敵わない。そう、信じていた。 少年は、自分でも不思議なぐらい冷静に、通信機から流れる放送に耳を傾けていた。ノイズ交じりのひび割れた声は、真戒派の敗北を宣言していた。
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