ロス:タイム:ライフ もうひとつの第5節
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申し遅れたけど、あたしは由香里という。 だらだらと過ごしてきたあたしだったが、父親の上司が紹介する男性と半分無理やりに見合いさせられ、自分ではあまり意思表示することもなく、あれよあれよという間に結婚することになったのだ。 ボォォォォン…… 駅の方から、なにやら鈍い音がして、少し遅れて黒煙が上がってきた。 “書店でガス爆発だ!” 道行く人が、そんなようなことを言って走っていった。 野次馬根性は無いあたしは、そのまま歩いて、何気なく公園に入って、ベンチに座った。 「ねぇ、今、何年?」 隣りのベンチに座った、コートを着た男が、そう言った。 手には、手のひらに収まるくらいの四角い画面だけの装置を持っていた。 「2008年…ですけど…何言ってるんですか?」 「君の携帯はどんなの?」 その男は質問に答えずそう言った。 あたしは、バッグからケータイを出した。 「やはりガラケーだな」 意味が分からない。 「その携帯、インターネットの検索はできる?」
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