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wild/fang
その他リレー小説 - アクション

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 満月の光が街を照らしている。
きれいな光。そして恐ろしい光だ。 人の心をまるで剥き出しにさせてしまうかのような光。
 実際、それは人の心を剥き出しにし、変貌させる。
 【満月病】と呼ばれるものの元凶。
 今宵も、また病人たちのよる脅威が始まる。

今宵も闇に紛れて、狂人達の宴が繰り広げられる。


街頭の灯りが照らす大通りにも新たな狂人が生まれようとしていた

 「キャアアアアアアア」
 「ククククク」
 凶悪な爪が走る。肉食獣のような獣ではなく、硬い鱗に包まれた甲殻類の爪が深夜に振るわれ、人々のはらわたを引き裂く。
 そこにいたのは異形の狂人だった。蟹と人間が合体したような不格好な姿。
 そして立ち向かうのは独りの男。学生服に包まれた少年は拳を握りしめ、まるで向かい合うように拳を構えて目の前の怪人に向かって吠え立てる。
 「いくぞ」
 少年は一歩踏み込み、そして前に飛ぶ。今まで頭がいた地点を巨大な蟹のはさみが走り抜け、その直線状にあったアスファルトを豆腐のように削り取ったのを無視するかのようにただ前に入り、相手の胴体に向かってねじりこむようなひじ打ち。完璧な角度、完璧なタイミングで打ち込まれた打撃は人を昏倒させるに十分な威力。
 それがただの人であるならば、だが。
「くくく、何かしたか?」
叩き込まれたひじ打ちをまるで蚊に刺されたかのように笑う怪人に、少年も笑う。それは野獣のような笑みだった。
「いいねぇ、やっぱ怪人はそうこなくっちゃな」
少年の体が回転、今度は回しけりが蟹男の首、甲羅の間の叩き込まれ、蟹男の体が揺れる。しかしダメージは通った様子はない。


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