ロス:タイム:ライフ もうひとつの第5節 1
あたしはいよいよ結婚することになった。
「(元ネタを全く知らんので、無視して続きの世界を作っては)いかんのか?」
突如、「キ○○マ命」という鉢巻を巻いた人型の何かが現れて、誰にともなくしゃべっていた。
もちろんこれは結婚相手などではない。面識もない。
私は無視して通り過ぎる。
どこかで見たことある気がするが、その知ってる人とは別人だ。
そうだ。これは、ジャイアンツの小笠原選手によく似た妖怪、
「巨人小笠原」に違いない。
生ける都市伝説の現場に立ち会えるとは私も運がいい。
申し遅れたけど、あたしは由香里という。
だらだらと過ごしてきたあたしだったが、父親の上司が紹介する男性と半分無理やりに見合いさせられ、自分ではあまり意思表示することもなく、あれよあれよという間に結婚することになったのだ。
ボォォォォン……
駅の方から、なにやら鈍い音がして、少し遅れて黒煙が上がってきた。
“書店でガス爆発だ!”
道行く人が、そんなようなことを言って走っていった。
野次馬根性は無いあたしは、そのまま歩いて、何気なく公園に入って、ベンチに座った。
「ねぇ、今、何年?」
隣りのベンチに座った、コートを着た男が、そう言った。
手には、手のひらに収まるくらいの四角い画面だけの装置を持っていた。
「2008年…ですけど…何言ってるんですか?」
「君の携帯はどんなの?」
その男は質問に答えずそう言った。
あたしは、バッグからケータイを出した。
「やはりガラケーだな」
意味が分からない。
「その携帯、インターネットの検索はできる?」