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おれが監督!
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おれが監督! 1

私立土佐学院高校野球部…。高知県にある、どこにでもある、硬式野球部。10年前に1度だけ夏の甲子園に出場した経験がある。しかし、今やライバルの城北義塾、土佐商業、南国学園に引き離され、県内大会でも1回戦敗退が続いている…。そんな弱小校に、一人の男が現れた。丸山貴幸。土佐学院野球部OBで、甲子園出場チームのエースだ。
 丸山は、次々と改革を推し進めていった。徹底した実力主義の導入、練習の質の向上、変速フォームの修正の取りやめなどである。
(重要なのは、『チームが精一杯プレーできる環境』を、俺がいかに作れるかということだ。野球に必要なのは、何人かのスーパースターではない。出場選手全員が仕事をするということなのだ。)
しばらくして、結果が表れた。5年後には、チームは県大会ベスト4の常連となっていたのである。そして、8年後・・・。
『土佐学院 2度目の甲子園出場決定』
丸山の、そして土佐学院の夢が叶った瞬間だった。

丸山・土佐学院はこの甲子園出場をきっかけに、全国屈指の名門校に成長した。土佐学院の野球は見る者を感動させた。元々、四国有数の進学校だったため、小柄で精神的にもろい選手が多かった。しかし、丸山はそんな選手たちを厳しい練習と独特の采配で盛り立て、いつしか土佐学院の選手たちは「火の玉」と表現されるようになった。丸山は打撃に重点をおいたチーム作りを徹底した。それが例え失敗しようとも、その失敗を取り返すほどの練習を課した。そして、…
「土佐学院、初の全国制覇達成!!」
丸山就任、10年目のことだった。
それからチームを8度の全国制覇に導く優秀な指導者として名を残し60歳の時に一線を退き、監督業を廃業した。

そして土佐学院と花巻西の対戦が始まった。
土佐学院のエース棚橋と花巻西のエース高木の投げ合いで、5回までともに無得点に終わった。

均衡が破れたのは6回。
花巻西の3番真田の痛烈なライナーが棚橋の左足に直撃した。
「ぐっ!」
顔を歪め蹲る棚橋。
棚橋は一旦ベンチに戻るが、足の痛みが引かず緊急降板となった。
2番手でマウンドに上がった3年の中西は準備が出来てなかったこともあり、後続の4番鈴木・5番吉川に連打を浴び失点してしまう。

「棚橋のためにも逆転するぞ!」
キャプテンの川野がチームを鼓舞する。
しかし気持ちばかり先走り、高木からチャンスを作りながらも得点が奪えず、0−1のスコアで敗れ1回戦敗退となってしまった。
「俺が降板しなければ…」
棚橋はベンチ裏で涙した。

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