逃亡記
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「それならば言わせていただきますが…お奉行様には申し訳ありませんが、このお話はお断りした方がよろしいかと思います」 「ほう、なぜそう思ったんだい?」 「あなた、本心では今のお仕事を続けたいと思っておいでなのでしょう?勘定方へ行こうと思うのは、出世して私に楽をさせたいと思っているから…そうではありませんか?」 「…参ったな、千沙…お前には私の心が解るのかい?」 「ええ、あなたの考えなら大体お見通しですよ」 そう言って千沙はクスクスと微笑んだ。 俊明は言う。 「そうかぁ…それなら本心を言うが、私は今の仕事が好きだ。日の当たらない仕事だし稼ぎも少ないが、確かに藩政の役には立っている。それに薄暗い書物蔵の、あの雰囲気も何となく好きなんだ。あそこには貴重な古書や書画の類も収蔵してあってね、そういうのを時々一人で眺めるのも楽しみなんだ…」 そう語る俊明の表情は実に楽しげな物だった。 「…ほら、答えは初めから決まっていたんじゃありませんか。私はあなたに好きな事を我慢させてまで贅沢をしたいとは思いませんよ。それに佐藤家は元々書物方同心だった訳ですし、何の不満もありませんよ」
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