必殺なんだろう。無論、両方がだ。だから俺は血の刃を防ぐ為に、防禦結界を編み込む。蒼白い円形型の防禦魔法陣が形成された瞬間、いや、形成されるか、されないかの瞬間、少女が飛び込んでくる。まれに一陣の影だ。人間の動体視力では認識することも出来ずに、刺し殺されるしかない刃を、しかし、俺は交す。
無傷で交すことは無理だと《分析》した身体は、刃を比較的重要臓器がないわき腹で受け止め、そこから捻り刻まれるよりも早く、渾身の打ち上げの拳を少女のアゴへと叩き込む。少女の軽い身体が中を舞い、そして落ちた。
そして今頃、結界と血の刃が衝突し、お互いの余波を弾けさせる。
訪れたのは沈黙だった。わき腹の傷口をすぐさま術で止血させる、同時に前髪をかきあげた。そこある額には、本来ありえないものがあった。
《あぶなかったな、我がいなかったら勝つどころじゃなかったぞ》
「そうだな」
術の操作を俺が、体の操作を額の三眼に分けていたから、なんとか対抗できた。そうでなければ彼女の動きなんて見えるわけが無い。
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