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「今津さん…畜生!今津さん!」
縞剣会の二年生会員、辻間忠久は焦っていた。
これほど焦燥にかられていなければ、彼は大声を出すことなく、夜陰にまぎれて逃げ延びることができたかもしれない。知り得たことを仲間に伝える機会を作れたかもしれない。
『敵』が彼を見失っている可能性がわずかでもある以上、彼は息をひそめているべきだったのだ。だが彼はそうしなかった。
だから、間もなく訪れた結果は、彼自身が招いたものだった。
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