――僕らは今、世界の悪意の底にいる。
繋いだ手から伝わる、彼女の体温が失われていく。
僕の尊厳が、上に乗っている女に奪われ続けるなか。
隣に転がされている少女は、跨る男に終わりを与えられた。
そう遠くない未来、僕も同じ場所に送られるのだろう。
ただ当たり前みたいに転がり落ちた先で、当たり前みたいに終わる。
運が悪かった。で、無視される話に過ぎない。
神様がいるのなら、何も与えられずに奪われる存在を、見向きをしていないのかな。
彼女の手が、氷みたいに冷たくて固くなった頃。僕の心臓に最期が刺し込まれた。
冷たさと熱さが胸の中で渦巻くのをどこか遠くのことに感じながら、意識は深い闇へと沈んでいく。
立ち去る誰かの足音も聞こえなくなった頃、僕らは身体までも何かに沈んでいった。
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