それが事実なら魑魅魍魎が跋扈する前触れと言っても過言ではない。中央京奉行役をしていた長谷川 兵三を火付盗賊改方に再任させたのは長谷川家は徳河家に付く数少ない鬼斬り役の一族、最も兵三は出生上当初から武家で育ったわけでもなく母親の実家である豪農の一家で育ち客人に鬼斬り役の侍が居たので剣の腕前を磨いた。しかし長谷川家に多大な不幸が重なり後継者が兵三しかおらずに仕方なく長谷川家は彼を迎え入れた。荒っぽいがそれなりに礼儀もあって武家社会に身を置きながらも庶民の視線を持っていた事もあり、本所で日中居た事から渾名がついた。やがて父親の引退に伴い彼も順次幕府の役職をこなし、途中で幾度か龍を倒した事もある。その姿はまさに鬼神の如く……火付盗賊改方長官に抜擢された以降は数々の盗賊を捕らえる。ただ兵三は彼らの心情を察してか無暗に死刑にする事も無く遠島にする事が多く、中には狗として働いている元盗賊も少なくない。
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