キラとクラレイの、釈然とせぬ顔に、ギュネリは気づかなかったようだ。これまでの展開を知らないためもあるだろうし、アイアダルの口添えのためも、もちろんあるだろう。そして何より――
告げようとする事態があまりに尋常ではなく、ためにはやく報告し、吐き出してしまいたいという内心の焦りが、クラレイに対するそれ以上の追及を彼女の口から出さなかったに違いない。
一瞬、彼女は唇を噛んだ。息を整えるように間をおいて、言った。
「ガラタクル卿が、倒れられました」
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