愛を歌うつもりはありません。
正義を語るつもりもありません。
勇気など微塵もありません。
ただ吐き捨てるほどの憎悪と嫉妬と絶望を語る。
『1.娼婦の女』
東京の路地裏、安いピンク色のネオンから薄汚れた光が降り注ぐ中、一人の娼婦が地面でのた打ち回っていた。
「ひぎっ、いぎいぎぎっ、イタいイタいイタいイタいイタいイタいイタいイタいイタいイタいイタい」
普段なら麻薬でそまった蒼い顔を厚化粧で白く塗りたくり金づるを求めて卑猥な笑みを浮かべている顔が歪み口元からは激痛の呻き声と共に汚れた唾液が零れ落ちる。