獄楽転変 1
愛を歌うつもりはありません。
正義を語るつもりもありません。
勇気など微塵もありません。
ただ吐き捨てるほどの憎悪と嫉妬と絶望を語る。
『1.娼婦の女』
東京の路地裏、安いピンク色のネオンから薄汚れた光が降り注ぐ中、一人の娼婦が地面でのた打ち回っていた。
「ひぎっ、いぎいぎぎっ、イタいイタいイタいイタいイタいイタいイタいイタいイタいイタいイタい」
普段なら麻薬でそまった蒼い顔を厚化粧で白く塗りたくり金づるを求めて卑猥な笑みを浮かべている顔が歪み口元からは激痛の呻き声と共に汚れた唾液が零れ落ちる。
その娼婦の顔を周りを囲んだ子供たちはニタニタと口元を歪めて笑う。あざ笑い、失笑し、嘲笑する。
「気持ちわるぅ」
「マジで最悪。死ね死ね。こんなゴミは死んだほうがマシだね。つーかマジで死ね。そういや知ってるか、最近警察ってのはさ、金がねぇからホームレスやこんな娼婦が殺されてもまともな仕事をしねぇらしんだぜ。笑っちまうよな」
「あはははっははあはっ」
無邪気な子供達は笑う。
全員がまだ十歳前半、まだ幼い顔に浮かぶのは蟲を弄び己が思うままに殺す無邪気な殺意。
「どうする、そろそろ殺す?」
「バーカ、まだ始まったばかりだろうが。まだのたうちまわってもらわなきゃ・・・・な!」
喋っていた子供が蹴りを娼婦の腹に叩き込む。娼婦の腹が衝撃に軋み、苦痛の悲鳴をあげていた口元からゲロが噴き零れる。
「クヒヒ、気持ちわるぅ。マジで気持ちわるぅ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」