申し遅れたけど、あたしは由香里という。
だらだらと過ごしてきたあたしだったが、父親の上司が紹介する男性と半分無理やりに見合いさせられ、自分ではあまり意思表示することもなく、あれよあれよという間に結婚することになったのだ。
ボォォォォン……
駅の方から、なにやら鈍い音がして、少し遅れて黒煙が上がってきた。
“書店でガス爆発だ!”
道行く人が、そんなようなことを言って走っていった。
野次馬根性は無いあたしは、そのまま歩いて、何気なく公園に入って、ベンチに座った。
「ねぇ、今、何年?」
隣りのベンチに座った、コートを着た男が、そう言った。
手には、手のひらに収まるくらいの四角い画面だけの装置を持っていた。
「2008年…ですけど…何言ってるんですか?」
「君の携帯はどんなの?」
その男は質問に答えずそう言った。
あたしは、バッグからケータイを出した。
「やはりガラケーだな」
意味が分からない。
「その携帯、インターネットの検索はできる?」
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