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プリンセス・パニック!!
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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プリンセス・パニック!! 1

俺は葉山 隆(はやま たかし)、16歳。容姿・成績・運動神経…どれを取っても平均点。自分で言うのもなんだが、どこにでもいる普通の高校生だ。
だが俺の平凡な日常はある日を境に一変した。
「なぁ葉山〜、聞いたか?」
朝っぱらからイヤらしく口元を緩ませて話しかけて来る同級生。こいつの名は片桐 左衛門尉 平 太郎 吉定(かたぎり さえもんのじょう たいらの たろう よしさだ)。とてつもなく長い名前なので皆にはペータロー(平太郎)と呼ばれている。
「何だ?」
「今日このクラスに転校生が来るんだってよ。それが何と外人の女の子なんだそうだ!」
「外人?」
「そう!見たヤツの話によると綺麗な金髪碧眼で、まるで天使か女神様らしいぜ!」
「ハァ…バカバカしい。お前なぁ、いくら白人の女が珍しいからって“女神”は大げさだろう…」
おそらくクラスのヤツの大半も俺と同じ事を思っていたに違いない。

だが、実際に彼女の姿を見た瞬間、その考えは吹っ飛んだ。
「め…女神…」
先生に促されて入って来た彼女の姿を形容するには、まさにその二文字以外に表現する言葉が無かった。
絹糸のような白金(プラチナ)色の長い髪、陶磁器のような白い肌、ものの見事に整った目鼻立ち…一流の彫刻家が魂を込めて作った一世一代の自信作に命を吹き込んだような…もはや芸術品レベルの美しさだ。
ただし、彼女が生きた人間である証拠に、その柔らかそうな頬は、ほんのりバラ色に…可愛らしい唇も薄紅色に染まっている。
全員が言葉を失った。男子はもちろんの事、女子すらも嫉妬する事も忘れて彼女に見入っていた。それだけ美しかったのだ。
しかも彼女は、何というか、侵すべからざる神聖なオーラのような物をまとっていた。先生は言った。
「こちらは今日から皆と共に学ぶ事になったアルディア・レイラ・エルフレイムさんだ。彼女は西欧の小国、エルフレイア王国の国王陛下のご息女…つまり王女様であらせられる。皆、くれぐれもご無礼の無いように!」
「お…王女様…?」
「マジかよ…!?」
「本物のお姫様なんだ…」
彼女の持つ不思議な侵しがたい雰囲気の正体が判ったような気がした。まさか本物の王族だったとは…。教室がざわめき、先生は声を上げた。
「静かに!エルフレイムさん、自己紹介を…」
「うむ…」
鈴を転がすような声がした。いや、鈴などに例えたら失礼だ。でも“うむ”って…?
次の瞬間、彼女は流暢な日本語でこう言った。
「…皆の者!遠からん者は音にも聞け!近くば寄って目にも見よ!妾(わらわ)の名はアルディア・レイラ・アルフレイム!アルフレイア王国国王が嫡子にして第一王位継承者じゃ!其方(そなた)ら異国の庶民などとは、本来ならば口を訊く事も無い立場じゃが、まあ、こうなったのも何かの縁じゃ。よろしゅう頼むぞ!」
「「「えぇ〜〜〜〜っ!!!?」」」
何という古風な物言い!てゆうか時代劇調!?明らかに日本語を学ぶ際の教材を誤ったとしか思えない。まあ、これはこれである意味“お姫様”らしい口調ではあるのだが…。
だが本当に驚かされたのはその次に彼女の口を突いて出た言葉だった。その言葉を聞いた俺は衝撃で心臓が停止するかと思った。
「実は妾はある男と添い遂げるためにこの学級に転入して参ったのじゃ。この中にタカシ・ハヤマという男がおるはずじゃ!」
「えぇ…っ!!!?」
次の瞬間、俺はクラス全員の視線を感じた。特に男子達が視線に乗せて送って来る強烈な負のエネルギーは、もはや嫉妬や羨望を通り越して殺意のレベルに達していた。隣の席のペータローなど、視線で殺せるものなら殺してやりたいとでも言わんばかりに俺を睨み付けてきている。
「な…何で俺…?」
もちろん俺には全く心当たりは無い。だが当のお姫様は俺を見て、つかつかと歩み寄って来た。
「おぉ!其方がタカシ・ハヤマか。お初にお目にかかる。ソナタの婚約者アルディア・レイラ・エルフレイムじゃ!」
そう言うと彼女は制服のスカートの両端を摘んで少し上げ、腰をかがめて挨拶した。良くあるお姫様らしい仕草だ。

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