ここから伝えたい 1
特別なこと、なんて一つもなかった。
今だって、それは同じなんだけど、
本当に、あの頃の私って、
周りが全部、とにかく羨ましくて、
自分のことなんか見てなかった。
容姿も普通、何か才能があるわけでもない。
何かと言えば、ドジをおこして、
周りに迷惑をかける。
どうしようもない自分。
それが私。
何一つ、変わってないのかもしれない。
それが、いいのか悪いのか、
わからないけど……。
あさって、あなたに久しぶりに会うんだ。
会えるかどうかわからないけど。
今でも、思い出す。
あの頃の思い出の切れ端を。
「パソコン室……ですか?」
「うん、他に空いてないからね。教室は」
夏休みの補習に引っかかった。
別に珍しいことでもなく。
去年も引っかかった。
とりあえず、数学・国語・英語・理科と、
基本的なものから、体育・情報まで、ほとんど。
担任の鈴丘先生は、涼しい顔をして、
一枚のプリントを渡した。
「これが、補習の日程表」
「あ、ありがとうございます」
プリントには、一時限から、六時限までのマスには、
びっちりと教科が埋まっている。
三日間の予定だけど、それまでに課題が終わらないと、
ただでさえ多い宿題が増えてしまう。
「じゃあ、頑張って」