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ハートのブレスレット
恋愛リレー小説 - 青春

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ハートのブレスレット 1

 あれは、まだ幼稚園に入るより前の話だったと思う。
お母さんが大事にしていたハートのブレスレット
をベランダから落としてしまった。
いくつも埋め込まれたダイヤに華奢なチェーン。

小さな裸足で一日中歩き回って、
帰ってきたお母さんの膝の上で泣き続け、
そのまま眠ってしまった。

あれから、必死で探したけれど、結局
見つからなかった。

「おはよっ。夏休みの宿題終わった?」
「うん、何とか」
「アハハ、どうせ、夏休みは遊びまくったんでしょ」

新学期になっても夏の日差しは暑くて、

セミの鳴き声がミンミン耳に付く。
親友の亜紀の騒がしさは、
夏休みボケに負けず、絶好調だ。

私は、日影を辿り歩きながら、
強い強烈な日差しに手をかざす。

「そういう亜紀は終わったの?夏休み前には、
こんなのやってられないってさじ投げてたじゃない」
「んーよく覚えてんね」

流行のお団子頭ですっきり纏めた亜紀の顔がよく見える。うっすら、大分焼けていて、露出してる部分も
綺麗なブロンズ色に染まっていた。
遊んでたんだな。人目でわかる。

「それよりもさー私ね、見ちゃったんだ」
亜紀がニヤリと笑う。
噂話大好きなミーハーな亜紀、
きっとうちのクラスの誰かと一緒に歩いてた。
何々先輩があの何部のマネージャと付き合ってる。
そんな話をするのだろう。
私は、お約束のように話を煽る。

「えー何を?どうせ、また信用性のない噂話でしょ」
「まさか、ビックニュース。大大ニュースだよ」
「……ハイハイ。何?」

聞いて驚かないでよと亜紀は耳元に口を近づけた。

「岸谷先生がね、ちょー綺麗なOL風の
女と歩いてた」

「えーいつ?どこで?」
岸谷先生はうちのクラスの世界史担当の若い先生だ。

多分、歳は24、5かな?
 亜紀は、キャッキャッ言いながら、喋りだす。
「昨日よ昨日」
「昨日?」
「うん、塾の帰りだったかな」
「塾の帰り……?」
亜紀がいっている塾は確か、駅前のビルにあるってきいたことがある。ついでに言うとそれは学校のすぐそばだ。
「ありえない!」
「……何がぁ?」
つい叫んでしまった心の声。
亜紀が怪訝そうな顔できいてくる。
「だって……」
 学校の周辺を女の人とあるくってことは、生徒の目なんか全然考えてない、もしくは見られてもおかまいなし、そのどちらかに違いないから。

「んー確かに。それにさ、いくらでも遊びの女はいるんじゃないの?」

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