続いて、「すんませ〜ん。パンクしちゃってぇ〜」と、店先で叫ぶ、
毬栗頭の元気な声が、ゆっくりとした時間を掻き消すかのように、響き渡った。
「それでは相原さん、先生に宜しく伝えてくださいな・・」
おじさんは手にしていたハンカチでチーンと、鼻をかむと、
"よこらしょ"と、小さく呟きながら立上がり、わたしに向けて右手を差し出した。
「あいがとう、ホントありがとうございます!」
わたしは両手でおじさんの手を握り締め、深く頭を下げた。
おじさんの手は、肉厚で、今まで握った誰のものよりも、温かった・・
わたしは、毬栗頭の自転車の前に蹲るおじさんの背中に向かい、もう一度口パクで・・"アリガトウ"と、言った。
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