「ドリンクの件かよ…あんなの誰も気にしちゃいないよ…」
『で…でも…亭主関白が…嫌だとか…こんな…こんなことしたくないとか…我侭…言った…』
「馬鹿だな…あれは俺の方が悪かったと思ってんだ…
いくらマネージャーだからと言って、各々にドリンク配って回らなくちゃいけないことはないし…
あんな重たいドリンク運んだら、誰だってやりたくないって思うのは当然だ…」
亮平の腕に力が込められたのが分かった。
背に回された手が、慰めるようにポンポンとそこを撫でた。
「僕も悪かったんだ…」
その声に顔を上げると、岸本が申し訳なそうに横に立っていた。
「今までマネージャーなんていたことなかっただろ?
だから、どう扱っていいのか部長の俺も分からなくてさ」
そう言うなり、岸本は亮平ともどに葵を抱き締めてきた。
「帰ってきてくれよ…」
葵は亮平の腕の中で、そしてその2人を抱き締める岸本の腕の中で
今まで味わったことのない、温かさを感じていた。
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