〜再会〜
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No.85
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指先がインターホンのボタンに触れるとピクリと体が震え思わず指を引っ込める。 首を横に振り怖気づく気持ちを奮い立たせ再び指をボタンに…。が、その指先はフルフルと震えるばかりで力が入らない。 「ッ…ダメだ。勇気が沸かない」 遂には手を引っ込めてしまい、胸に抱えた薊の制服を抱き締め顔を埋めた。 鼻を擽る香水の匂い…薊の匂い。 甘ったるくもなく、スパイシー過ぎもしない…。 そんな心地良い匂いに包まれ、緊張が解れていく。 薊の香りを大きく吸い込んで、吐き捨てると同時に、恋歌の顔からフッと笑みが零れた。 「香水なんか付けて…色気づきやがって……――」 恋歌は無意識にそう呟いて、クスッと穏やかに微笑んだ。 その時……。 「お前、なに人の制服の匂い嗅いでニヤニヤしてんの?」 恋歌がハッと顔を上げて振り返ると、玄関先の門に背を凭れ腕を組んで俯き加減。 視線だけを此方に向けて上目遣いに恋歌を見る。 それは紛れもなく、恋歌が鼻を摺り寄せニヤケていた匂いの持ち主だった。 「薊ッ!?」 瞠目…そうして焦燥…。 言葉を失い立ち尽くす恋歌に薊は酷薄の笑みを浮かべ、ひと言呟いた。 「変態」
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