〜再会〜
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No.12
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本文
『だったらどうなのよ!』恋歌は、目の前の、口聞かぬ広大な背中を上目遣いに睨むと、心の中で、そう叫んだ。 しかし、当の薊は、そんな恋歌の気持ちなど露知らず…その肩は、コクリ、コクリ…と不自然に揺れ始める。 片身に陽射しを受けながら、細い身体を椅子に預け、心地よい眠りに誘われている薊の姿は、今まで殺風景だった窓際の席をキラキラと輝かせて魅せていた。 始業のカネが鳴って、まだ三十分と経ってないのに…。 恋歌は、持っていたペンの先を薊に向けた。 ペンで突付かれ驚き、変な声を出して、みんなに笑われる薊を思うと嬉しくなって、自然に笑顔が零れてしまう。 しかし、少し身を乗り出して、薊の背中に顔を近づけた恋歌は、笑顔を失い固まった。 下を向いた薊のシャツから覗く、細い首筋からチラリと見えたモノ…それは、美しく妖艶な薊の容姿には、似合わない、醜く盛り上がった赤い古傷…首筋に張り付いたその傷が、シャツで隠れた、薊の背中で、更にどんな姿を繰り広げているのか……想像して、ドキッとするような、痛々しい傷だった。 しかし、恋歌には、その傷に覚えがあった。
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