最愛の、姉
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夏休み。 高校3年生、受験生である僕―稲森守は休みの午前中はほとんど学校へ行き受験対策の補習を受ける生活を送っていた。 来年の春に、大きな目標を達成したいために今はひたすら我慢の時。そう思っていた。 夏休みが始まって2週間ほど。 お昼前に家に帰ってくると、それまではなかった靴が一足増えていた。 「あっ、守、お帰り」 「姉さん、帰ってたんだ」 「午前中にね。久しぶり、守」 1歳上の姉、稲森涼花。 この春から大学生になって遠くで一人暮らしを始めた。 大学が夏休みになって今日帰省してきたみたいだ。 この姉こそ、僕が一番大好きな女性。たとえ血が繋がっていても、だ。
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