野望の王国
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かつて強大な国力で栄華を極めた王国。 建国より四百年を経て、その姿はさながら力なく歳を経た老人のようであった。 栄華の象徴たる都は古び、活力を失い。 王国の子達である諸侯は、王国の威光を省みること無く互いに権を争っていた。 その王都・・・ すでに大半を占める貧民街の一角。 俗に言う娼婦街で1人の赤ん坊が産声を上げた。 母親は娼婦。 父親は誰であるか分からない。 このような赤ん坊が産まれる事等珍しくはない。 だが、その赤ん坊を取り上げた産婆は、赤ん坊の手の甲を見て声を上げた。 「この子ったら『紅い星』を持ってるわ!」 産婆の言う赤い星・・・ それは赤ん坊の手の甲にあった星形の痣。 建国王がこの星を持っていたとされ、別名『王星』と呼ばれる痣。 「娼婦の・・・子なのにねぇ・・・」 疲れ果てた中に喜びと悲しみを混ぜた様に母となった娼婦が呟く。 そう、所詮娼婦の子だ。 この先生きて、まともな職にありつけるかの方が問題なぐらいで、王星の痣だろうが似つかわしくないぐらいだ。
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