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魔王は平和の象徴と言われている球体――クリスコアを前にし、今までの長い旅路を思い返していた。 全ては女神が魔物の蔓延った世界を秩序という抑制力と制裁という武力を用いて平和をもたらしたのがそもそもの始まりだ。 女神は魔物の力を奪い、沈静化させていった。 その結果、魔物は今やひっそりと身を隠し、無力なただの生き物がのさばるような世の中になってしまった。 それだならまだしも、魔物を奴隷のように扱う始末。 耐えかねた魔王は、魔物の力を奪って沈静化させる球体――クリスコアを破壊すべく神殿へ兵を引き、とうとうここまでやってきたのだ。 しかし女神がそれを見過ごすわけもなく、最後の要として自身の体を張り魔王の前に立ちはだかったのだった。 一人で魔物を鎮圧した女神の腕は確かだったが、魔王は最期の一人になっても決して諦めなかった。 たとえ命が尽きようとも、クリスコアさえ破壊できれば再び魔物の時代がやってくるのだ。 その想いの一撃がクリスコアにヒットして、球体にヒビを入れさせる。 女神の方も思いの外苦戦を強いられ、命も危ない状態だ。
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