吉原遊郭〜胡蝶亭艶聞〜
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江戸幕府初代将軍である徳川家康は、自らの政権の首都を江戸に置いき、それまで草深い田舎町に過ぎなかった江戸は、以後幕府の手によって、日本最大の都市へと変貌をとげる。 江戸幕府開府から百数十年、江戸吉原遊郭は、大都市江戸の数多い快楽街の中で、唯一幕府に公認された遊廓として、国内最大の快楽街として、繁栄していた。 それはあたかも、より強い光を当てることで、影がより濃く大きくなっていくように。吉原遊郭もまた、江戸の繁栄と軌を一にするように大きく成っていった。 その繁栄は、まさに不夜城と呼んでよいほどであった。 その吉原遊郭の一角に『胡蝶亭』という娼館が在った。吉原遊郭の中でも新興の店だが、店主が二十代の若造にも関わらずやり手のため、僅か数年で『胡蝶亭』は吉原遊郭でも有数の名店となった。 だが店主である 胡蝶亭の光次郎(コチョウテイのコウジロウ)は、満足してはいなかった。何故なら彼には、絶対に成し遂げねばならない、ある目的があったからだ。 そしてその目的を達する為には、より多くの美しい、何より、自分に忠実な女たちが必要なのだ。
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