温泉宿
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┗雑賀宗次郎
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一話 待ち合わせ 街にはクリスマスソングが流れ始めた。今夜は、寒波の影響でどことも今季1番の寒さだ。暗く星の見えない夜空に、白い雪が舞っている。道には徐々に雪が積もり始めた。 仕事を早く切り上げた私は、駅のロータリーでスマホに目をやる。待ち受けに写った時刻は、18時50分。待ち合わせの時間まであと10分ある。待っている相手の顔はわからない。インターネットの掲示板とメールでやりとりしただけの関係だ。年齢は50後半で、同じ趣味ということと、同じ教師という仕事を過去にしていたいうことは知っている。見た目はわからない。男の趣味は、男児性愛だ。 ロータリーに、あきらかにレンタカーだと分かる白いワンボックスの車が入ってきた。運転席の男は、50代の白髪の男が乗っていた。目があう。向こうは穏やかな表情だったが、こちらはおそらく緊張していただろう。歳の差は、20歳。その差が心の余裕に出たのだろうか。 男がメールで教えてくれた温泉宿へは、ここから1時間ほどだ。山道を抜ける。さあ、出発だ。
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