堕嫁入した母と雄吐女(オトメ)息子
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本文
一ノ瀬 涼介は天涯孤独の身……と言うのも数か月前の話、高校卒まで世話になった孤児院経由で親が名乗り出たと言う連絡を受けた。涼介は高校卒業後は軍役の義務を果たしたのちにそのまま就職、十年目の春を迎えていた。上官である少佐からの勧めで父親と面会する事になる。一度も来たこともない将校用客間で……。 「……鵠 巧介だ、あの時は君を守るだけで精一杯で乳児だったからベビーシェルターを利用した」 「……母は」 巧介は項垂れるのも無理はない、引き剥がされ好色家の資産家に凌辱され精神異常になり末期ガン患者に仕立てられて安楽死させられたのだ。この悪事が明るみに出ており軍を巻き込んで大騒動の最中である……。 「償いは幾らでもする……一ノ瀬家を分家にして妻を後見人に」 「?」 「私はもう長くはない、自分の脚で動けるのもな……だから遭いに来た」 確かに気分が優れない事は初対面の涼介も表情を見て理解した。
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