人妻のひ・み・つ 11
「お帰り」
優しく声をかけてくれたのは愛するダーリン。
天野靖典。
国民的…は言いすぎかな、男性アイドルグループのメンバー。
テレビ番組で知り合ったのをきっかけに、交際を始めた。
お互いに体を求め合った結果、ちょっと早く子供を授かる結果にはなったけど…
元から結婚するつもりだったし、大好きなんだから、すぐに結婚を決めた。
そして、無事に娘―麻耶も授かった。
ダーリンと愛娘、私の二つの誇りだ。
「遅かったね」
「いろいろあるのよ」
「そうか」
私の仕事やプライベートに深く首を突っ込むこともしない。
逆に、私も彼のことにはあまり関心を持たないようにしている。
それが夫婦円満の秘訣だ。
「麻耶は?」
「母さんが寝かしてくれたよ」
母さん―私の母、水瀬愛。
数年前までは女優としても活動していた。
私が芸能界にいられるのも、こんなに早く結婚できたのも、この母のおかげだ。
そもそも、この母が私を産んだのも私と同じ19歳のとき。
私の状況を理解してくれるいい存在なのだ。
母が女優を引退したのは私が芸能界に入ったとき。
私は、高校卒業の前にスカウトされ、芸能界に踏み込んだ。
親友の雨音蜜樹と草薙彩子も一緒だ。
グラビアの仕事もそれから始まったのだ。
そうして、このダーリンとも知り合い、そして今に至る。
「お風呂入ってくるね」
「うん」
シャワーで体を洗い流し、湯船につかる。
昼間、精液で汚しつくされた体を消毒するように、すべて洗い流す。
舞「ふぅ…」
お風呂に浸かっている間に、私はある決心をした。
今日、この後…
うん、いいよね?
パジャマに着替えて、リビングに戻る。
ダーリンはさっきと変わらず、ソファーに座って雑誌を読んでいる。
「ねっ」
「何?」
「…しない?」
「何を?」
「…わざと?」
「…いや、まあ、その」
照れ隠しに戸惑う顔が、年上なのに可愛く見える。
「いつになく積極的だね」
「そうしたい日もあるのよ」
「まあ、別にいいけど」
「夫婦だもん」
「…毎日してた頃もあったな」
結婚する前のほうがお互いに野獣だったのかもしれない。
お互い、体をむさぼるように欲していた。
今は、大人の夫婦として、メリハリが利いてきたというか、なんなのか。
…お互いに忙しくなったせいもあるか。
でも、今日は別だ。
今からダーリンに抱いてもらうことで、昼間のあのことを忘れられるんだから。
寝室。
私たち、二人の空間。
「ん、ん、んちゅ、ん…」
ダブルベッドに座るなり、熱いディープキスを交わす。
「ん、ん、ちゅ、んぅ…」
舌が絡み合う。
体が熱くなるのがあっという間だ。
キスの間に、彼が私をゆっくりとベッドに倒す。
「可愛いよ」
「…んぅ」
素でさらっと言うんだもん。
ある意味、意地悪。
でも、そこが好き。
パジャマのボタンをひとつずつ丁寧にはずし。
あっという間に私はうまれたままの姿になった。
「そっちも脱いでよ」
これから獣になるのだ。
お互いに、見せるんだ。
「ふ…あっ、ああっ」
彼が最初に責めるのは胸。
優しく両手で揉み、乳首を吸い取られたり、つままれたり。
「あ…はあっ」
彼の手は、あのときの男たちとは違い、優しく、なでるように触れる。
「は…あぁっ」
それが、私の体をジンジンと熱くさせる。
「…また大きくなったんじゃないか?」
「何が?」
「胸」
「えっ…そんなことない、よ?」
思わぬ指摘だ。
揉まれると大きくなるって、都市伝説だと思ってたんだけど。
…願いもしない形だってあるし。
いや、そんなことはない!
そう思っていよう。