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住み着いた奴は…
官能リレー小説 - ファンタジー系

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住み着いた奴は… 1

その建物は今にも崩れるのではと思わせる程に損傷が激しい。だが、中からは野太い声が聞こえる。
「……」
俺は建物の中に入る前に一度足を止める。
ここまで来る途中に何度かオーク達と遭遇したのだが、どの個体も皆、目が虚ろだったのだ。
何かがおかしい…そう思いながらも、俺は扉を蹴破る。そこには、白目を剥いて倒れる複数のオーク達の姿があった。
そして、奥には筋骨隆々の男がいた。顔は馬なのだが、首から下は人間のそれである。上半身は何も身に着けておらず、下半身には黒いズボンを履いているだけだ。
「ふむ……何者かと思ったら貴様か」
男は俺の方を見て言った。
「お前は何者だ?このオーク達はどうした?」
「我が名はルーガンと言うものだ。まぁ今は訳あってここに住み着いておるがな」
ルーガンと名乗った男は腕を組みながら答える。
「このオーク達が何故倒れているのか、それを答えて貰おうか?」
俺は男に対して質問を投げかける。
「ふんっ!それは簡単よ。こ奴らは我の魔力に当てられて気絶しておるのだ」
「何だと!?」
俺は思わず驚きの声を上げる。
目の前にいる男が、このオーク達を一瞬で制圧したという事なのか?
しかし、そうなると一つ疑問が生じる。
この馬男程の実力があれば、わざわざこんな汚い場所で生活する必要は無いはずだからだ。そんな事を考えていると、ルーガンが口を開く。
「さっきから何を黙りこくっておるのだ?まさかとは思うが、我と戦うつもりなのではあるまいな?」
ルーガンはニヤリと笑う。
「勘違いするな。戦うつもりなど無い。中から声がしたから気になってここに入っただけだ」
俺はルーガンに向かって言う。
「ほう…。そうであったか。だが、貴様からは強い力を感じるぞ…」
ルーガンの目つきが変わる。俺を品定めするかの様な目線だ。
「そんな事はどうだって良いだろう。それより、ここに居るオーク達はどうしてこうなったんだ?」
俺は話題を変える。すると、ルーガンは組んでいた腕を解き話し始める。
「我も気になっていたのだ。まるで媚薬でも飲まされたみたいにうつろで、それでいて興奮しているようでもあった…」
ルーガンは顎に手を当て考える仕草をする。
「媚薬…か」
確かに、俺が見たオーク達の目は正気を失っている様に見えた。
それにしてもオークに媚薬を飲ませて誰が得をするというのだろうか。
「うーん…。やはり分からぬな!」
ルーガンは考え込むのをやめたようだ。判断材料が少なすぎるし仕方ないかもしれない。

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