女嫌いが女になったら 80
どうやらチアリーディング部の練習らしい。と言っても、5人しか見当たらない。
それでも、息はピッタリと合い、脚を挙げ、ボンボンは舞い、何よりその輝いた笑顔。
ふとそれを見掛けた小百合達は、ポーッと見とれていた。が、数世だけは何故だかムスッとしている。
数世は、年頃の女の子がおパンティやその御神足を人前に晒す事を、倫理上宜しくないと考えていたからである。
それは痴女行為に当たると、誤った価値観を形成していた。
そんな数世の考えを知るよしもなく、チアリーディング部の練習は一段落ついたようである。
チア部の面々は各自腰を降ろしたり、水分を補給したりし始める。
そんな彼女らに思わず拍手を送る小百合達。数世はというと、相変わらず憮然とした表情をしていた。
『なーにが「ハイッ!」よ!決まった!とでも言いたい訳!?不愉快も甚だしいわ!』
そう吐き捨てながら、彼女らのポーズを真似、「ハイッ!」と声を出す数世。本人には悪いが、かなり様になっている。
小百合達が慌てて数世を宥めていると、先ほどのチア部のリーダーらしき女生徒が、カルテットに声を掛けて来た。
『貴女・・・ひょっとして数世さん?』
その女生徒は戸辺遥(とべはるか)。三年生で、チアリーダーを務めている。
茶色のミドルヘアで、サイドはいくつもの小さなリボンで網込まれている。凛とした顔立ちは、その意思の強さを物語っていた。
遥は数世の目の前に立ち、彼女を観察し始めた。目線の高さはほとんど同じで、数世の身長155pと変わらないだろう。
しかし、遥の起伏の少ないスレンダーな体つきと、数世のムチムチグラマラスな体つきは、目に見えて違いが浮き出ている。
『・・・何の用?』
心なしか声のトーンが低い数世。目も明らかに怖い。
『ええ、決めたわ。』
そんな数世の様子を察したのか察してないのか、遥はフフッと笑う。
そんな遥に、眉を潜める数世。
『貴女、チアリーダーやってみない?』
『なぁ!?ち、チアリーダー!?』
『『『えー!?』』』
突然の提案に驚きを隠せず戸惑うカルテット。追い討ちをかけるように、遥は続ける。
『あら?取り巻きの貴女達もよ?それに、その木の陰にいる貴女もね。』
振り向くカルテット。そう、たまたま監視中だった神武藍であった。
『決まりー♪』
こうして、強引に新生坂崎高校チア部が結成されたのだった。
数世達、新生坂崎高校チア部結成の噂は瞬く間に学校中に広がった。
それにつれて、様々な者達が動き出す。
『マイスィートハニー。君のチアリーダー姿、僕がしっかりと見させてもらうよ。
はぁ〜、萌える、萌える〜〜〜〜マイハニ〜〜〜〜♪』
とある者(笑)は萌え。またある者は。
『何ぃ〜〜!?数世ちゃんがチアリーダーに?この坂本毅、絶対に・・・見たぁああい。』
・・・と危ない者もいたりする。
そして・・・ここにも。