女嫌いが女になったら 25
『て、てめぇええ、舐めやがって!この場で勝負だ!好色王子!!』
『ふっ、よかろう。愛しいマイスウィートハニーをかけた決闘、受けてたつ!』
『上等だ。きやがれ!!数世ちゃんは渡せねぇからな!!』
あの・・・何で俺の名が出るわけ?
ひろポンは手を離すと、物凄いダッシュで木刀を取りにいく。
袋から出される長い木刀を持つと力強く萌えプリンスに向けた。
『こいつでお前を、コテンパンにしてやる!!きやがれ!!」
『ふっ、礼儀を知らん奴だ。決闘の前は、こう礼儀をわきまえないとな。』
そう言って、白い学ランの内ポケットにあるハンカチを投げつける。
コイツ、ここまで来て自己陶酔しているのかよ!!
『ほーー!!男、坂本毅も舐められたものだ。てめぇ!』
顔を真っ赤にするひろポン。対する萌えプリンスは赤い薔薇を口に挟んで何故か
自己陶酔の最中。コイツ、出来る。…たぶん。
『さぁ、マイスウィートハニー!貴女のために、この野蛮人を成敗します。見ていてください!』
そう言うと萌えプリンスは、赤い薔薇を俺に投げる。
こいつ・・・死んでくれ。
『きぇええええええーーーーーーー!!!』
先手必勝とばかりに、猛然とダッシュして、木刀を振り下ろす。剣道で言えば、面打ちって所だろう。
『ふっ。野蛮な奴め。』
余裕の表情の萌えプリンス。しゅっと、音を切らして身をかわす。い、今のは?
『ちっ!』
空を切った、つよポンの木刀。今度は猛然と横突きをお見舞いする。
『どうだ!これでは逃げられまい。』
確かにこれではかわせない。後ろは壁だ。
『はっ!!とう〜〜〜〜〜〜!!』
ヒラリと上に跳び、空中で一回転をする。その優雅な姿に、店内で黄色い歓声が上がる。
すげぇ、やるな。と半ば感心している俺。思わず拳にぐっと力が籠もる。
その姿に小百合と伸一郎は溜息をついているが、気にしなーい♪
『てめぇ。逃げてばかりいないで、かかってこいやぁあああ!!』
つよポンは怒り任せて、木刀を振り回す。振り回す先には、店の調度品が無残に壊れていく…。
あぁ〜あ。あいつ、店の物を壊して…。
『ふっ。優雅さを知らない、野蛮人め。はぁぁあああああ!!』
ガシャ〜〜〜〜ンっと大きな音が店内に響く。
『て、てめぇ…。』
『ふっ。決闘はエレガントでなくてはな。』
俺は思わず声が出なかった。萌えプリンスが白い薔薇1本で、つよポンの木刀を止めたのだ。
片方の膝を付いた綺麗な姿勢で、つよポンの突進を止めている。