PiPi's World 投稿小説

ある女子水泳部の物語
官能リレー小説 - 学園物

の最初へ
 -1
 1
の最後へ

ある女子水泳部の物語 1

「今日から夏合宿、だけど、そんなに肩肘張らず、新しいシーズンの目標を作って、自分のペースでやっていきましょう」

県立碧浜高校女子水泳部。
夏の大会が終わり3年生部員が引退し、新たな体制でスタートする時期に行われる夏合宿。
1年生と2年生合わせて15人ほどの部員と顧問の若い女性教師がやってきたのは綺麗な海と砂浜が近くにあるスイミングスクール併設の合宿所。

「ここが使えるのはみんなの先輩のおかげでもあるの」
「ふふ、そんな大げさなこと言わなくていいのよ、桃花」

水泳部顧問の橋本桃花が紹介するのは碧浜高OGでスイミングスクールの校長でもある藤村綾。
綾は水泳選手として輝かしい成績を上げ高校の歴史に名を残す偉大な存在である。
しかし綾はそんな素振りを微塵も見せない、気のいいお姉さんである。

「私みたいに全国大会を目指せる逸材もいるって聞くけど、大事なのは水泳が、泳ぐ事が楽しい、大好きって気持ちを持ち続ける事。今をエンジョイしながら自分を磨いていってね」

合宿開始の挨拶もそこそこに、水泳部はトレーニングに入っていく。

「海、めっちゃキレイだったよね!近くだから休みの日は遊べるんじゃない?」
「そうだね…楽しみ!」


「はぁ……まったく」
同じ2年生の仲間がオフの楽しみに期待を寄せる会話をしている中、真剣な眼差しでトレーニングに打ち込むのは堀奈津佳。
県大会上位にも入った今の水泳部のエースである。

そんな彼女に邪念が芽生えつつあった。合宿所の方針が気に入らなかった。顧問と部員だけの空間と思っていたのに、同じ学校の男子が合宿所にいたからである。
しかもそのうちの一人は、部員と付き合っていると噂があり、合宿中なのに学校と同じようなどこか浮ついた空気に対する苛立ちとリア充に対する嫉妬が渦巻いていた。
明確に反発するのが彼女ぐらいで、ほかの部員は下着まで洗ってくれて練習後にはマッサージもしてもらえると、楽すぎて羞恥心すら薄れつつあった。

「最初は先輩が何を考えてるか分かりませんでした」
「男の目があるとないとでは大違いよ、桃花」

綾は偉大であったっと同時に計算高い人物でもあり、合宿所のスタッフの一部に碧浜高の男子をバイトととして雇っていた。
体育会系の部活や同好会のレギュラーになれなかった者から選ばれ、役割は合宿所の運営スタッフである。
あえて水泳と無関係なところから選ばれたのは指導方針への介入を防ぐためであり、綾が女子部員に水泳に集中しつつ内部で発散できるようにとの考えが反映されていた。

奈津佳は初日から目いっぱい泳いだ。ほかの部員たちが時間が来ると早々に引き上げていく中、ただ一人居残りで泳ぎ続けた。

「頑張るのね」
「来年こそは、勝ちたいですから」
「その気持ちは素晴らしいわ。でも無理は禁物よ」
ストイックな奈津佳に綾がアドバイスを与える。

練習後にシャワーを浴び、バスタオルを被りながら更衣室に引き上げる奈津佳。

「お疲れ、堀さん」
「っ!?」
声を掛けられ奈津佳の背中がビクッと震えた。

「なんでアンタがここにいるのよ」
「橋本先生から誘われて…」
同じクラスの男子、大沢忠義がこの合宿地にいるとは思わず、奈津佳は動揺していた。

「学校公認のバイトだし、堂々と部活と家から解放されるんだからいい話だ」
「あの校長先生って変わってない?」
「水泳とか合宿ってよく知らないけど、堀さんがすごいってのは少しわかったかも」

合宿所では同じ碧浜高でも男子バイトは顧問の従属下でなく、綾との雇用関係にあったので、顧問と校長の両者から命令される部員とは立場が違った。
校長の指示のみを受ける彼らに違和感を覚えていたが、恥ずかしいことにもそれぞれ身体測定や付き添いとの名目があり、自分だけが文句を言えなかった。見られて恥ずかしがるようでは大会などでのプレッシャーへの耐性が育たないと激励されていた。
そのせいで、奈津佳は体重やバストのサイズを知られた。

「本当に入ってくるの?」
「校長が言ってたから…プールの中では気を張っているけど、油断したときに意識を失ったり転倒してケガする確率が高いって。堀さんはレギュラーだし、特に気を付けないと」
「そ、そう?だったら、しかたない…わね」

彼が過干渉でしかない命令を受けていて実行しようとするも、レギュラーという単語を耳にすると優越感や承認欲求が満たされた気がして警戒心が緩む。

SNSでこの小説を紹介

学園物の他のリレー小説

こちらから小説を探す