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神に愛されし異端者
官能リレー小説 - ハーレム

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神に愛されし異端者 1

 商人すら訪れようとしない辺境の国。異民族が住みしその地に、30年前、たった一人布教に訪れた敬虔な信徒がいた。国王を初めとする国民はみな、神を信じ、信徒を尊敬し、神の代弁者としてあがめた。年老いた信徒は死に、国には伝道する者がいなくなった。国民はみな嘆き、あらたな伝道者を呼び、自国に教会を創設することを決意する。そして信仰の中心地である帝国の首都へ使者をおくったのだった。
 総本山リンゼルロック教会で一人の青年が怒りで体を震わせていた。リオ・ゾラック26才、神官試験を史上最年少で突破し、25才という異例の若さで枢機卿となり、将来の総司教就任が確実視されていた。だが青年の夢は砕かれた。異民族からの司教の招来要請についての会議で、青年以外の全員が青年を推したことで彼の派遣が決まってしまったのだ。青年は枢機卿になってから1年、教会の腐敗を指摘し続けたことで疎まれていた。つまりやっかい払いである。呼び戻されることは無いだろう。
 青年は決意した。自分の好きなように生きてやると。

「枢機卿のリオ・ゾラックです。司教として派遣されて来ました」
 全く、なんで俺がこんな田舎領主に頭をさげなきゃいけないんだ、と心の中で毒づきつつも、リオは礼式にのっとって王に挨拶をした。
「おお、待っておった。これでまたこの国に神の言葉が届く」
 王は立ち上がってリオのもとにやってくると、リオの事を抱きしめた。
「それにしても、ゾラック殿はお若いですな。年はおいくつですかな?」
「26です」
 ほう、と王は頷いた。
「では、今が盛りですな」
 ははは、とリオに笑いかけた。
「はぁ……?」
 なんだか分からなかったが、どうでも良いかとリオは曖昧に返事を返す。
「そうであろう。では、長旅でお疲れになったでしょうからゆっくりとお休みくだされ」
「お気遣いありがとうございます」
「うむ、明日から神の言葉をお聞かせください」
「ゾラック殿を客室に案内せよ」
「はっ! ではこちらへ」
 王の命令で側に控えていた衛士がリオに目配せして歩き出した。

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