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人生、いくらでもやり直せるさ
官能リレー小説 - その他

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人生、いくらでもやり直せるさ 1

その日の夜は強い雨が降っていた。
山道を抜け、住宅街に差し掛かる手前の下りで、道路脇を傘もささず鞄を傘代わりにして歩いていた女子高生を見つけたのだった。

「おい、大丈夫か?」
車通りも少なかったので停車して声をかけた。

「お兄さん、どこ行くんですか?」
「一人旅の最中だ。今日泊まるホテルを探そうと思ってるところだな」
「じゃあ、乗せてください」
「家か?」
「とりあえず、私お兄さんについて行きます」

家出なのか?なんか不思議な感じがした。

彼女を助手席に乗せ、車を発進させる。

「できれば遠くに行きたいです」
「何かあったのか?」
「…………とにかく、今は」

もう少し話を聞きたいところだったが、彼女からは「これ以上聞くな」という強い視線を感じた。
とても可愛い子だが、何か闇を抱えている、それは一目見て感じた…

『次のニュースです。A県新海市の住宅で夫婦が刃物のようなもので刺され重傷となっている事件で、男性の長女で高校一年生の少女が事件後行方が分からなくなっていることが……』

「…………お兄さん、ラジオ、違うとこに変えてもいいですか?」
「ああ、別にいいけど」

何か落ち着けそうな番組やってそうなのは…と。

「君のそばにいてあげたい♪
どんな日も、どんなことがあっても〜♪」

音楽番組では、今ブレイクしている男性アイドルグループの新曲が流れていた。

「とりあえず、これでいいか?」
「……」

何も言わないが、彼女は歌に聴き入って、わずかに微笑んだようだった。
強い雨が降り続く中、閑散とした住宅街の中を走り続ける。

「…………」

車内に会話はない。
軽快なリズムの音楽とDJの軽妙なトークがステレオから流れるだけ。
でも、悪い雰囲気ではない。

赤信号で止まるたび、彼女は少しソワソワする。
小柄で、小動物的な可愛らしさがある。
それでいて、結構胸は大きいようだし、むっちりとした感じ。

「なあ」
「?」
「名前、教えてくれないか」
「………」

彼女は黙ったまま。
不機嫌そうな顔は、してないように見えた。

「俺は悟志。能條悟志だ」

「…………愛花」

愛花さんか。本名かどうかはわからないが、変な名前でもないしとりあえず。
俺はカーナビを操作して、今いる場所の画面の倍率を変えて表示地域を広げる。
それを示して言った。

「愛花さん、俺はさっきも言った通り一人旅の途中なんだ。そして俺達が今いるのがここ…この県内には、もうこのまま行っても近くによさそうなホテルも無いみたいから、隣の県に行くつもりだったんだが、いいかな?」
「…それで、お願いします」

答える愛花さんは、うっすらと微笑んだ。
どこか儚げで、可愛い微笑みだ。

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