混浴温泉の罠 1
ある芸能事務所が、所属アイドルを連れ山里の旅館に慰安旅行に来ていた。
「プロデューサーさんはまだ眠っていますかね…せっかくのライブ成功記念、私の気持ちも…後で見られてもいいように、綺麗にしなきゃ」
坂上麻友、プロデューサーに思いを寄せるアイドル。
早朝の混浴露天風呂に一人浸かっていた。
「おや、こんな時間にかわいい子が一人だなんて」
「あら、どちら様でしょう?」
麻友が一人の時間を楽しんでいた時、若い男が露天風呂にやってきた。
微笑み会釈する麻友、そのまま会話が始まる。
「旅行?家族とかで」
「ええまあ…気心知れた仲間といいますか、三泊四日の予定です」
麻友はしっかりバスタオルでガードを固めている。
「ホントは二人きりがよかったんですがね」
「??」
俯きボソボソ呟く麻友。
ふと男の方を向く麻友。
「その目、何か期待してません?」
「ええっ!?いやなんでも…」
「そうですね、男の人は……そうだ、みんなにも温泉、楽しんでもらいたいから、呼んできましょうかね……ガードの緩い子を」
麻友はそう言って露天風呂から離れる。
しばらくして………
「今温泉には誰もいないから入った方が良いって麻友…何だかいつもより強引な感じだったな…まぁ、プロデューサーも起きたし、大丈夫かな…朝風呂は私も入りたかったし…」
塩谷莉菜。
彼女も麻友と同じ事務所のアイドル。
そうして何も知らないまま混浴へと入ってしまう莉菜
誰も居ないと聞いているため、かなり油断しておりバスタオルは巻いているものの湯船に浸かる際には取ってしまう。
「……気持ち良い…。」
入って一言そう言ってしまう、男がいるのも知らずに無防備を晒してしまう。
「ホントに気持ちいい……色々忘れそうかもね…」
誰もいないと思い、無防備に羽を伸ばす莉菜。
「まったく麻友はプロデューサーに何を…」
一人湯につかりながら愚痴のようなものも飛び出す。
一方、先ほどまで麻友と会話していた男は麻友が去った後も微かな期待をしながら隅っこで湯につかっていた。
そこに莉菜が現れ、無警戒にくつろぐ姿をしっかり確認する。
(まさか本当に来るなんてな)