格好が・・・ 7
週末に見た『ホワイトパラダイス』の話をいつもの友達にしていた。
「こんな、超恥ずかしくて、あり得ない、って感じ」
遥はスマホでその店のページの画像を見せた。
この前まで茶髪だった杏がそのスマホを手に取り、求人の欄を見た。
「すげえ時給。フーゾクとか、ヤバいサービスはないんでしょ。あ、ヤバい、って昔の方の」
「うん、そのはず」
「バイトとしては良い条件なんじゃない?」
「今から慣れとくのも手かもね。進学しても、割のいいバイトとなれば水商売とかだし」
「アキバじゃないから、どうせ学校にはばれないよ」
「あの時は、いきなりだから驚いただけだし」
二人が話していると、恵麻も来て心変わりしたと吐露する。
渋谷ではどの少女も露出度が高いのを思うと、従業員の制服もそんなに浮いてないと三人の中で意識が目覚めていた。
泉達は、アポイントを取って、翌日の放課後に「ホワイトパラダイス」に行った。
バイトとはいえ、軽く、放課後や休日の部活動のような気分で、親にも相談しなかった。アポを取ったとき「履歴書」と言われて、書いたことがなかった3人はちょっと戸惑ったがまおまあ気軽に書いた。
面接した男は、先日声をかけた男とは別だったので「先日はすみません」とは言いそびれた。
形式的な面接。高校生である確認と、通勤時間、どんな曜日や時間にでられるか、など実務的なことを聞かれたあと、それほど待たずに三人とも
「じゃあ、今週末から、よろしくお願いします」
と言われた。
「あ、寺井さん、ちょっと」
恵麻だけ、その男に何か耳打ちされた。
「何言われたの?」
「『系列店に行ってもらえる?』って」
それを聞いた泉は“この店は胸が大きい人がいいのかな”と思った。
その時、建物の外から先日声をかけた男の声が聞こえてきた。
三人が外に出てその男に挨拶しようとしたら、この前の三人の下着丸出しの写真を持った男と一緒だった。
この二人は仲間だった。
「あっ、この前の写真を持っていた男。どうして!」
その男はこの前と同じように逃げだした。
三人はびっくりして家に帰った。
その晩、三人はスマホのチャットアプリでグループチャットをした。
(アプリの性質上、台本的に見える形式にさせていただきます)
泉「やっぱ、あの店、あり得ない」
恵麻「そうね。巨乳狙いっぽかったし」
泉「このバイト、あり得ない。やめよう」
遥「ちょっと待って、あの、写真の男、別の意味であり得ない」
泉「何で?」
遥「パンティの写真撮って、警察呼ぶ、とか言われても、イマドキじゃ成り立たないはず」
遥は、恵麻に向けて先日読んだネットニュースのリンクを送った。
恵麻「そうだよね」
遥「これ、謎で、おもしろそうだから。私一人でバイト行って、ちょっと見てくる」