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優劣逆転
官能リレー小説 - その他

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優劣逆転 1

僕は、全然モテない……。見た目もしょぼいしダサいし。
女の子とほとんど触れ合わないまま、もう27歳になってしまった。

でも、実は2回くらい女の子と付き合ったことがある。
ただ…どちらも、ようやくベッドインという時に振られるという辛い経験があった。

「うわっ、包茎だったの?てか、あたしの親指くらいしかないじゃん…いやいや無理無理」
で帰られたのが一人目。
「はぁっ?なにこのチ〇ポ?…皮かむりだしそこらのガキより小さいんじゃない?これと付き合ってたなんて、恥ずかしいわ」
が二人目。
おまけに、実はド早漏である。

「はぁ〜あ。不細工がモテて粗チンが優遇されたらいいのに…」


まあ、そんな事が2回も続くと、さすがの僕もめげ無い訳は無く・・・
いくらそれが事実であったとしても、面と向かって愚劣した女のデリカシーの無さを恨んだりもした。
こんな思いをするぐらいなら、このまま一生女を知らなくてもいいとさえ思ったほどだった。


「よお、田中!この後、付き合うだろぉ?」
それはクライアントとの飲み会の後だった。
先輩営業マンが、キラリと目を光らせた。
断われる訳はなかった・・・お客様は神様・・・
それがパワハラだろうが何であろうが、営業マンにとって、クライアントの言うことは絶対だった。

「もちろんです。僕も久々にソープですっきりしたいです!」

僕は心とは裏腹に、命一杯に笑顔を作った。

そう言った面において、僕は淡白と言ってもよかった。

営業職に着いている以上、キャバクラに連れて行かれることは今まで度々あった。
そこでモデル並みの綺麗なお姉ちゃんが横に座っても、
グラビアアイドル並みの豊乳女子が胸を擦り寄せてきても、僕の心は踊ることは無かった。

それよりもこの何時間かで飛んでいく、多額の支払いが気になってしょうがなかった。
景気のいい時代は、こういった関係の領収書も会社に落とせたとは聞いたが、
今の時代そんなことが叶う訳もなく、先輩が多く払ってくれることはあっても、オゴリのことなどあり得なかった。

ましては今回の誘いはソープである。
僕は自分の短小皮っ被りを晒さなければいけないという不安と共に、
いったい入浴料は幾ら払えばいいのか?
・・・そのことが気になって仕方なかった。


・・・そして予想通り。
ソープ嬢は営業スマイルと言うか、明らかに憐れんでいるのを隠しながら僕に接し、僕も同じように笑顔を張り付かせて応対。
逃げ出したいのを我慢しながら事を終え、店を出た頃には雨になっていた。
その雨で解散になったのはいいが、僕は傘を持っていない。
暗澹たる気持ちで繁華街から駅へ急ぐ僕。
そして、繁華街の外れで僕は彼女と出会った。

「あーちゃん・・・」

思わず言ってしまったあだ名。
雨に打たれ立ち尽くす女が、余りにも僕の記憶と一致した。
12年も前・・・
中学卒業を待たず行方の分からなくなった幼馴染み。
年齢を経て大人の女だったが、思わず言葉に出てしまう程、彼女は彼女のままだった。

彼女がゆっくり僕を見る。
生気の無い瞳、蒼白な顔。
彼女の口が開き言葉が出てくる。

「ゆっくん・・・」

僕をそう呼ぶのはごく親しい人だけ。
雨音の中でもそれは聞き取れた。

「あーちゃん・・・あーちゃんだよね?」

「うん・・・ゆっくん・・・よね?」

彼女・・・
沖野彩乃は身を震わせながらも、瞳に生気が若干戻る。



そして僕、田中優斗も思わず身を震わせてしまったのだ。


『行く所が無いの・・・』
彼女のその言葉で僕はタクシー慌てて止めて彼女を家に連れ帰った。
騙されてるとか、何か事件に巻き込まれるかとかそんな事は頭に無く、ただただ彼女との色んな思い出が頭をよぎった。
何を言えばいいか何も思い浮かばず、車内はほぼ無言。
家についてよく見ると、彼女は地味な服1つで何も持っていなかった。

「大丈夫?、おじさんとおばさんは?」

何も状況が分からず聞く僕に、彩乃は殆ど無表情だった。

「お父さんとお母さんは知らない・・・」

余りにも素っ気ない言葉。
仲の良い家族だった筈。
でも彼女の言葉には何の感情も無かった。

「離婚されて・・・どうしたらいいか分からないの・・・」

無感情な言葉。
彼女が
結婚してたのはびっくりだったが、年齢を考えるとありえる話だ。
ただ、この有り様は異様だ。

涙が出た。
あんまりに酷い話だ。
胸まで一杯になり、泣きながら思わず彩乃を抱きしめてしまった。

「どうして・・・泣くの?・・・」

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