カオスファッカー 2
アゼルの目が、ギョロリと辺りに転がる肉塊たちを見渡した。もちろん、こいつらも美咲と同じ供物の女だ。オレの苛立ちを鎮めるために、こうしてオレには出来ないやり方でアゼルに仕打ちをさせているようなもの。まあアゼル本人も喜んでくれているのが救いではある。
「なんだ、飽きたのかい? さっき充実してるってキミが言ったじゃないか」
オレは笑った。全く、意外と悪魔というやつは人間に非常によく似ている。好みにはうるさいし、面白い玩具には必ず食いつく。そして、そういう自分の満足のためにはとことん貪欲なのだから。
「飽きたわけじゃないさ。ただ、そろそろオレも久しぶりに真っさらな人間の女を喰ってみたいのよ」
今までアゼルに預けた女たちは、大抵が軽い女だ。すぐに股を開くようなタイプで、肉体的にもある程度出来上がっている。どうやら、アゼルはそこを一度外して欲しいらしい。
「難しい条件だな……このご時勢そんな女が果たしているものかな」
「無論、タダでとは言わんぜ。悪魔の願いを聞いてくれるんだ、それなりの報酬があって当然だろう?」
「ようし。その話、乗ったよアゼル」
魅力的な響きとはまさにこのことだ。普通には満足出来なくなったオレに、さらに力をくれるというなら断る理由がない。何せ悪魔の強大な力だ、期待ハズレなどありえない。オレは迷わず頷いた。
そうなれば、早速『贄』の調達だ。
前は、生娘ということで子供を連れてったらアゼルのやつ不機嫌になっちまったからなぁ…
「仕方ない…学校で探すか…」
オレは学校では生徒会長をしている。
『カリスマ』
オレがアゼルからもらったチカラはオレの本性を隠す最高の仮面にもなっているのだ
しかしその強すぎる力は学校内で歪な関係性を生みだしてしまっていた。
時間割すら自分の一存で決まるほどの地位を得たが、それにより個々の関係性がオレに集中し始めている。
至る所でほころびが出つつあった。殺傷沙汰でも怒りそうなほどだ。