交差 9
「恋人がいるいないはそれとは関係ないですから…」
あーあ、何言ってんだ俺;…
「ふぅ〜ん何だか優紀のそれ、興味あるなぁ〜」
何でそんなに瞳を輝かせてんの…
「そんな普通だよ、普通…ごく一般的な独身男に過ぎないから…」
何で俺、言い訳してんのさ?
「週に何回?…それとも毎日?…」
おいおい;…何か嫌な汗、出てきちゃったじゃないかよ;…
「直人じゃあるまいし、毎日ってことはある訳無いだろ…俺もそんな若くはない…」
まあホントの事だ…毎日ヤルほどガキでもないしな…
「そう?優紀だって直人に負けないぐらい元気だと思うけど」
詩織が知っている俺の元気は、もう数年も前のことじゃないか…
「あの頃とはもう違うさ…こういうことは顕著に身体に現れてくるもんだからな。」
「こういうことって…どういうこと?」
分かっていて聞いてるんだよな?絶対;…
「だから男のピークっていうか…」
真面目に答える俺もバカだ。
「幾つぐらいなの?」
好奇心旺盛って顔してますよね;
「確か男は19だったかな…」
はい、俺なんて下り坂を駆け下りてますけどね;
「それじゃ直人だってもうダメじゃない…」
それ以上年上の俺はどうすればいいんですかね;
「ダメってことは無いだろ…」
男が傷つく言葉なんだぞ、それ…
「直人だってもう30なんだよ。盛りの時から11年も経ってしまっているじゃない…」
盛りって;…アイツは犬じゃ無いんだから…
「ああ見えてアイツもそんな歳なんだな。もっと若いと思っていたよ。」
精神年令で言ったら、アイツはまだ中学のガキと変わらいからな…
「経験人数も優紀が30の時に比べたら、滅茶苦茶少ないんじゃない?」
人をホストみたいに言わないでくれよ;
「分からないぜ…人は見掛けに寄らないって言うから、直人だって案外遊んでいるかもしれいぞ。」
まあ会社の便所でマス掻いているぐらいだから、それは無いな…
「直人のはそんなに使い込まれていないと思うよ。」
どうして分かるんだよ、どうして;
「見たのかよ?」
コイツだったらありえる…
「こないだ社長室にカメラあったの…」
「おいそれって盗撮じゃないのかよ;…」
「あら、たまたまスイッチ、切り忘れたままだったの…」
嘘つけ…狙ってやったに決まってるだろ…
「ピンクだったもの…」
ブッ!
「な、何がピンクだって言うんだよ;…ナニが;…」
「あの頃の優紀と同じ…綺麗なピンク色だった…」