性優 1
「こんにちはぁ、今日はよろしくお願いします」
撮影スタジオに入ってきて、ぺこりと頭を下げてはにかんだような笑顔を見せたのは大人気声優の上川菫(かみかわ・すみれ)、23歳。
黒髪ロングの清楚なお嬢様というルックスに、グラビアアイドルでも通用するような豊満な身体の持ち主という素晴らしい逸材だ。
今日の装いも赤のニットで、胸の膨らみがこれでもかというくらい目立っている。
そんな彼女に今日は声優雑誌のグラビア撮影を依頼してスタジオに来てもらった。
「僕らも初めてだし、まあリラックスしてね」
「はいっ」
お茶を出し、しばらく他愛もない話をしていい雰囲気を作る。
「撮影は下のフロアのスタジオでやるから。衣装を渡しておくから、着替えてきてほしい」
「わかりました」
菫が衣装の入った袋を持って更衣室に向かった。
「………なにこれ……なんで水着っ!?」
編集者から手渡された包みを開けて入っていたものに菫は愕然とした。
「わ、私、声優なのに…これって、違う世界の方の行う撮影なんじゃないかな…確かに、よく胸のこととか言われるけど、うぅ…」
本当なら逃げ出したいところだが、顔なじみの編集者相手で、これまでもお世話になっている雑誌の仕事でもあるので、菫は仕方なく渡された水着の一つ―黒ビキニ―を身に着けることにした。
「撮影フロアは下にあるって言ってたけど…」
着替えてそのフロアに向かう菫。扉を開けると視界は広がる―
「これって…ぷ、プール!?」
戸惑う菫。
開閉式の窓から外の景色が見え、10mほどのプールが設置されている。
「やあ菫ちゃん!とてもよく似合っている!」
「あ、あの…」
先ほどの姿のままの編集者。さらにカメラマンとスタッフが数人。
「大人気声優の水着グラビアだ、これは大ヒット間違いなしだね」
「そ、それって…」
数人の男たちの視線が菫に注がれる。
推定H〜Iカップと言われる菫の豊満なバストはファンや関係者からも以前から注目されていた。
(う、うぅぅ……み、皆さんの視線が、ちょっといやらしいような…で、でも、こうなった以上はやらないといけませんよね…!)
男たちの視線に菫は若干怯え、不安ながらも撮影に臨んだ。
彼女はプロフェッショナルなのだから。
「いいね、菫ちゃん、もっと視線を向けて!」
「すみぺ、プールで、気持ちよさそうな顔でお願い!」
撮影に入れば菫は男たちの視線を忘れてモデルとして期待に応えて見せた。
撮影は概ね好評で、菫もほっと胸をなでおろし更衣室に戻っていった。