察したアイーシャがそっと耳打ちして教えてくれた。
(艦長な、その火星本土降下作戦で父親と婚約者を亡くしてんだよ…)
(え…っ!!?)
(…婚約者は火星に降下した地上軍の一部隊の指揮官だったらしいけど、敵陣のド真ん中に降ろされたは良いが、作戦が始まってからクジ参謀が急に攻略目標を変更してな、結局その地点には後続の増援部隊も軍艦からの援護射撃も無く、その部隊は敵に包囲されて哀れにも全滅…父親は戦艦の艦長だったが、撤退時にテラグチ総司令の乗る旗艦を敵の猛攻から守るための盾にされて撃沈…)
(そんな…酷い…二人とも味方に殺されたようなものじゃないですか…)
(その二人だけじゃないさ…テラグチもクジも、部下を将棋のコマ程度にしか思ってない…ま、第一次火星事変がそもそも私達の入隊する前の事だから聞いた話だけどな…)
(……)
カナメはおずおずとクリスに歩み寄ると、思わず自分が悪い訳でもないのに謝ってしまう。
何というか…そうせずにはいられなかったのだ。
「あ…あの、艦長…その…ごめんなさい…!」
「はい…?」
突然のカナメの謝罪に、今までの怒りも忘れてキョトンとした顔をするクリス。
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